大漢和辞典デジタル版を少し触ってみた

こんにちは!のぐち(@drtwitting1)です☆

今回は大漢和辞典デジタル版を入手したので、そちらをレビューしてみたいと思います。通常価格130,000円(税抜)のところ、2019年3月末まで100,000円だったので悩みましたが購入しました。

『大漢和辭典』(だいかんわじてん)は、大修館書店で出版されている世界最大の漢和辞典諸橋轍次を代表とし、数十年に及ぶ歳月(鈴木一平の依頼があった1925年から補巻が刊行された2000年までだと75年)を費やし完成。諸橋大漢和と称されることもある(Wikipediaより)

 『大漢和辞典』以前の『康熙字典』(1716)は学問を重んじた清朝康熙帝の勅撰による字典ですが、その『康熙字典』を乗り越える辞書となっております。とくに2文字以上の単語をたくさん網羅したことから、漢籍の読解に絶大な効果を発揮する字典です。一方、近代発展した音韻論はあまり踏まえられていないので、字源については伝統的な解釈が多いようです。

下図を見てもわかるとおり、紙の書籍ですと置き場所に困るくらいの辞典になります。

大漢和辞典 全15巻セット 別巻『語彙索引』付

大漢和辞典 全15巻セット 別巻『語彙索引』付

 

 

f:id:drnoguchi:20190321213538j:plain

こんな立派な函にUSBが1本入ってます(この函を簡素化して、少しでも安くして欲しかったなんていえない)。

 検索方法

一般的な漢字辞典には3つの引き方がありましたね。漢字には形・音・義の3つの要素がありますが、辞典は意味(義)を調べるものなので、形か音から調べていきます。主な引き方は「部首」「総画数」「音訓」でしたが、これまでの書籍版『大漢和辞典』には他の検索方法もありました。ちなみに戸田市立図書館が作成した『大漢和辞典』の引き方は基本を押さえるのに最適です。

  • 形から→部首から調べる。総画数索引で調べる。四角号碼索引で調べる。
  • 音から→音訓索引で調べる。語彙索引で調べる(2字以上の単語を検索する際)。

このうち「四角号碼索引」「語彙索引」はデジタル版では使えません。これがどの程度使用の便に影響するかが不安で購入を悩んでおりました。

結論から言うと「四角号碼索引」はあまり使ったことがないので要らない、「語彙索引」は書籍版では大変お世話になっていてデジタル版でもあれば便利だったなあというところです。

直接検索

  • 漢字検索…直接漢字を入力する検索法。後述するがこれは実は便利
  • 大漢和番号検索…大漢和辞典の親字についてる番号で検索する方法。あまり実用性はない?
  • ユニコード検索…ユニコードで検索する方法。「價」(U+50F9)の場合、「U+」を省いた「50F9」で検索すればOK。

複合検索

以下の検索は組み合わせて利用することができます。デジタル版ならではの機能で大変便利です。

  • 部首検索
  • 総画数検索
  • 音訓検索

おすすめの検索方法

複合検索は大変便利なのですが、ちょっと操作に慣れないと素早く漢字を探せません。もしATOKがPCにあれば(『大漢和辞典』ユーザーは難しい漢字を使うのでATOKを持っている人が多いのではと思ってます)、ATOK文字パレットを駆使して直接検索の漢字検索に直に漢字を入力して検索してしまえばよいのです。

たとえば「麤」みたいな難しい漢字も総画数が33、もしくは音が「ソ」であることがわかっていれば、簡単に入力できます。ユニコードに存在しない漢字でなければこの方法でいけるので、ほぼこの調べ方でいけます。

f:id:drnoguchi:20190321223720j:plain

f:id:drnoguchi:20190321223523p:plain

 注意点

主な注意点は公式サイトのQ&Aを参考にしていただきたいのですが、いくつか気になるであろう点をまとめておきます。

  • USBメモリ1本ご購入につき、インストールできるPCは1台限りです。
  • PCを買い換えても、買い換え後のPCでも使用可能です。古いPCのアンインストール作業を行ってから(USBメモリが必要)、新しいPCへインストールすればOK。PCが壊れてアンインストールができない場合は、USBメモリの情報を書き換えるプログラムをご用意する予定とのこと。なのでアフターサービスを行うにあたり、ご購入後にユーザー登録は必ず行うように。

感想

語彙索引の機能があればより便利だろうなあとは思いますが、紙の辞典と比べたらはるかに短時間で引くことができます。置き場所を考えなくて良い事も利点です。

しいていえば何でも『大漢和辞典』を引けば済んでしまうようになるという欠点があるかもしれませんね。これまで『大漢和辞典』を引くのは面倒なので小型の字典で引いてなかったら『大漢和辞典』といった順序で辞書を使い分けていたのが、『大漢和辞典』で済んでしまいます。辞書を比較して読む楽しさも忘れてはいけないのではないでしょうか?

おすすめの漢字字典

大漢和辞典』はちょっと高いなあと購入を迷っている方に代替になるおすすめの字典を紹介します。

角川新字源*1は、小型なのに『大漢和辞典』のもつ豊富な2文字以上の単語(熟語)収載数に次ぐ漢和字典です。日常使いで漢籍を読解するのにはかなり便利なのではないでしょうか。

角川新字源 改訂新版

角川新字源 改訂新版

 

 藤堂『学研漢和大字典』の改訂版。音韻論を駆使した字源の解釈には定評があったが、字源の解釈も結構書き直しているみたい。なにより弱点であった親字数と熟語数を大増補したので、漢籍の読解にも問題なく使えます。ちょっと大きいのが難点だが普及版ならやや小さいみたいです(私は机上版を持っている)。

学研新漢和大字典 机上版

学研新漢和大字典 机上版

 

それではみなさま、よい漢字ライフをお過ごしください☆

*1:貼っておいたリンクは改訂に際した公式サイトでとても面白いです。