【薬剤師が解説】認定薬剤師研修シールを早く手帳に貼らなくてはならない、たった1つの理由

こんにちは!のぐち(@drtwitting1)です☆

 

業務終了後や休日に研修会へ行き自己研鑽という方も多いと思います。でも帰ってきたら疲れてご飯も食べていない、化粧も落とさないと・・・、ともらった薬剤師研修シールを手帳に貼るのを後回しにしてしまいがちです。認定を申請するにあたり、どのシールがどの研修だったか整理するのが大変だった経験をされた方も多いと思います。

 

皆さんはどのタイミングで研修シールを薬剤師研修手帳に貼り、研修情報を記入されていますでしょうか?

 A 人目も憚らず研修中に

 B 帰宅後、24時間以内

 C 24時間以降

 

私は、以前はAでした。しかし研修中に記入するのは講師の方にも失礼ですし研修への集中を妨げますので、Bの24時間以内(研修当日~翌日)に変更しました。その結果、24時間以内に手帳に貼って研修情報を記入することには復習効果もあることに気がつきました。

 

 

友人Kの話

大学時代の友人にKという男がおります。彼は現在、大学の薬学部で研究・教育を行っています。彼は大学時代に腕を骨折をした際、ロキソニンを服用したら痛みが楽になって「ロキソニン様々、略してロキ様!」といい、当時流行していた「冬のソナタ」の主演男優ヨン様のものまねをするという力業で私を大爆笑させた、とてもユニークな人物です。

その彼が「研修や学会から帰ってきたら、疲れてすぐ寝たくなる。でもできるだけ早く配布資料を整理したり、自分なりにまとめ直したりすると記憶に定着しやすい。やるとやらないで後々すごく差がつく」とたまには真面目なことを言っていたのです。

彼は不遇なこともありましたが地道にそういった努力を積み重ね、研究で賞も取ったようです。すごい!

 忘却曲線*1からもわかるように、反復することが大切なのです。

ポートフォリオとは

 ポートフォリオとは「紙挟み」とか「作品集」を意味するようです。アーチストなどは自分の作品を閉じたり、建築家では下書きやコンセプトなどを入れたりするようです。

『PharmaTribune』誌で以前ポートフォリオについて全5回の連載をしており、私はそこで知りました*2

単に学習記録だけをファイルするのではなく、目標とか患者さんからもらった折り鶴などモチベーションになるものをファイルするなどその作り方は自由です。ホームページもあるようなのでのぞいてみてはいかがでしょうか。

プロジェクト学習の基本と手法―課題解決力と論理的思考力が身につく

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 JPALSってどうなの?

JPALS(ジェイパルス)はインターネット上で利用できる生涯学習支援システムです。学習の記録である実践記録(ポートフォリオ)の蓄積と、段階制の仕組みであるクリニカルラダー(以下CL)の活用を以て、薬剤師の資質向上に寄与し、国民の保健・医療・福祉に貢献することを目的としています。

とホームページから引用しました。JPALSの思想としては、友人Kの「学習しっぱなしより、振り返って整理するといいよ」ということと、学習計画を立てて実践しようぜということだと思います。

国際薬剤師・薬学連合(FIP)が提唱するCPDのサイクルに則って、生涯学習を進めることに則っているようです。よく分からないけど素晴らしいですね!

ここが残念JPALS

1.計画の項目が細かすぎる・・・

383項目あるプロフェッショナルスタンダード(PS)を学習前にプレチェックして、足りていないところを確認して学習計画を立てましょうという思想です。

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プロフェッショナルスタンダード

ぶっちゃけ人間てこんなモチベーションで学習するものでしょうか?「なりたいビジョンに向けて」とか「興味のある分野だから」とかそんな動機で良いのではないでしょうか。また「今年は認知症の勉強をやる」とひたすらそれだけやるという学習スタイルもあるかもしれません。

項目が細かいので「今回の学習はPSのどこに該当するのか?」探すのが大変なことがあります。せっかく学習記録をつけるのにあまり煩雑すぎると面倒になってしまいます。

2.  利用料がかかる

日本薬剤師会会員は無料で利用可、非会員は利用料10,000円(税別)/年です。

チェーン店とかですと薬局が薬剤師会に入るために、管理薬剤師のみ会社の負担で日本薬剤師会に入れてくれたりします。そうすると管理薬剤師は会員なので無料で利用可、その他の薬剤師は非会員なので利用料がかかるということになります。不平等なことになってくるわけです。

私は前の職場では管理薬剤師だったので会社の負担で会員にしてもらっていたのですが、自分より若い人が自腹切っているのに自分は無料というのが申し訳なくなってJPALSを利用できなかったです。現在努めている会社は全ての薬剤師を会社の費用で会員にしてくれているので、大手を振って利用できています。

薬剤師会主催の研修会でも会員になることのメリットをだすために会員・非会員で金額が違うということがありますが、上記の事情を踏まえて欲しいと思います。

3.Evernoteでよくない?

単位修得とか制度的なところを抜きにして、学習記録をとるという点においてはEvernoteなどのノートアプリがとても便利になってきており、圧倒的に使いやすいように思います。検索機能もなかなか便利ですし、タグを作成して分類も容易になっています。学習記録をとる目的のみだったらJPALSを使う意味はあまりないように思います。やはりクリニカルラダー(CL)と呼ばれる段階制の称号(?)を得る目的が大きいように思います。

とはいえJPALSの実践記録の検索も比較的便利です。ためしに「心房細動」で検索したらちゃんと該当する研修の実践記録に辿り着けました。

 4.  お手製簡易版JPALS実践記録

わたしが平成24~28年にかけてまだJPALSを利用していない頃に使っていたExcel版のJPALS風実践記録のフォーマットがあったので載せておきます。

お手製簡易版JPALS実践記録

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記入例

上記の記入例のように記録しておけばいいと思います。

 

5. やっぱりJPALSが好き

さんざん否定的なことを書いてきているようですが、大学のころお世話になった先生が立ち上げに関わっていたこともあり、JPALSには頑張って欲しいです。とくに学習記録をつけていくというスタイルは他の研修認定制度と一線を画すところがあり、他の制度に負けて欲しくないとつい判官贔屓してしまいます。

 

薬剤師研修手帳の記録もそれなりに役立つ

私は研修などで配布された資料は保存したい物以外はすぐに捨てます。保存したものは日付順にファイリングしますので、薬剤師研修手帳の記録が目次としての機能を果たします。

またJPALSやEvernoteに詳細に学習記録を取っている場合でも、やはり目次としての機能を果たすことがあります。

JPALSやEvernoteには記録せずとも、記憶が新しいうちに薬剤師研修手帳にシールを貼り、もう一度内容を思い返して研修情報を記入するだけでもかなり違ってきます。

しかも後でシールの整理に困ることがありません。おすすめいたします。

*1:よくある忘却曲線の解説は間違いらしいのですが。

https://kyouiku-jouhou.com/61.html

*2:鈴木敏恵「ポートフォリオとPLBで成長し続ける薬剤師になろう!」第1回『PharmaTribune』Vol.4 No.11、第2回Vol.5 No.1、第3回Vol.5 No.2、第4回Vol.5 No.3、第5回Vol.5 No.6